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05_1 おみくじ 姫乃side

last update 최신 업데이트: 2025-07-01 04:54:22

一通り見て回った後、私たちは博物館を後にした。

「お腹すきません?」

「そろそろランチの時間?」

私は腕時計で時間を確認する。

十一時半を過ぎたところだった。

「食べたいものあります?」

「特には……。あ、こういうときは食べたいもの言った方がいいのかな? 言わないと優柔不断に思われたりする?」

「は?」

私の質問に樹くんはポカンとする。

いや、真面目に聞いているんですけど。

「あー、そこはそんなに気にしないかなぁ。姫乃さんってほんと真面目だよね」

「……そこがダメなとこ?」

「そこがいいところ!」

「いいの?」

「いいじゃん」

と言われても、納得できない私は頭を悩ませた。

ちょうど近くの店の前に立てられた幟を見て、私はふと思いつく。

「そうだ、ラーメン屋さんに行きたい」

「そんなんでいいの?」

「行ったことないの」

「えっ! 姫乃さんってお嬢様?」

「まさか。お嬢様はカツ丼特盛買わないよ」

「確かに」

「なんか一人で入れなくて、友達とご飯食べるときもラーメン屋さんってなかなか行かなくない?」

「俺は行くけど。まあ、女の人はそうなのかな? じゃあ行きましょうよ、ラーメン屋」

樹くんは私の提案をすんなり受け入れてくれ、ここから割りと近くにあるという樹くんお気に入りのラーメン屋さんに連れていってくれた。
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  • 強引な後輩は年上彼女を甘やかす   05_4 おみくじ 姫乃side

    ラーメンの後は近くにある神社に足を運んだ。樹くん曰く、恋愛の神様が奉られている神社らしい。それならばぜひ良縁祈願しなければ。鮮やかな新緑がほのかな風に揺れ、サワサワと耳に心地良い音を届けてくれる。木々の隙間から差し込む木漏れ日が穏やかで、とても気持ちが良い。「あー、まさか神社に来るなんて」「ダメでした?」「御朱印帳持って来たらよかったと思って。私、神社とかお寺を巡るのも好きなの」そんなに頻繁に行くわけではないけど、好みの御朱印帳を手に入れてから、御朱印を貰うことも趣味のひとつとなっている。「姫乃さんマジで渋い」「なんか年寄りじみてるよねぇ。はー、そういうのもダメかなぁ?」「何で? 俺は好きだよ、そういう趣味」「そう? 引かない?」「むしろ好感度アップ」「じゃあそういうとこ全面に出していけばいいかなぁ?」渋い趣味だけど好感度アップなら、これはアピールポイントなんじゃないかと思ったのだけど。「さすがに極端すぎ」と、一蹴されてしまった。「うーん」「そこは悩むとこじゃないでしょ」「いや、悩むとこだよ」「姫乃さんってほんと面白いね」樹くんにクスクス笑われてしまった。モテることもなかなか難しい。 私はまた頭を悩ませた。

  • 強引な後輩は年上彼女を甘やかす   05_3 おみくじ 姫乃side

    「姫乃さんって見かけによらず庶民的なんだ」樹くんが意外そうに言う。「私は思いきり庶民ですー。なんか回りの人が私に抱くイメージが変なのよ。何でかな?」本当に、特に猫を被っているわけではないのに、私の見た目なのか態度なのか、よくわからないけど昔から勝手なイメージが一人歩きしていく。そんなんじゃないのに、と否定してもなかなか受け入れられてもらえない。「ふわふわしててお嬢様みたいだよね。俺も初めて見たときはお嬢様かと思ったし。名前もお嬢様っぽい。だから彼氏ができないのかもね」「どういうこと?」「姫乃さんめちゃくちゃ人気あるんだけど、高嶺の花だから手を出しにくい」「ええっ、私そんなんじゃないのに。どうしたらそのイメージ払拭できるんだろう?」「払拭したら姫乃さん今以上にモテるからやめて」「そんな。モテてないから困ってるのに」思わず頬が膨らんだ。 モテなさすぎて、いつの間にかアラサーの私。 それを高嶺の花だからなんて理由、光栄だけどとうてい受け入れられるものではない。「モテたいの?」「モテたい!」樹くんの問いに力いっぱい答えると、樹くんはお腹を抱えて笑い出した。「ははっ、姫乃さんウケる」「あー、もう、またバカにしてるー」「してないです」「してるよー」「ははは、はいはい、すみません」私は怒っているのに、樹くんはとても楽しそうに笑った。

  • 強引な後輩は年上彼女を甘やかす   05_2 おみくじ 姫乃side

    個人店らしきラーメン店は入口が小さく、少し染みのできた暖簾が掲げられていた。中に入るとカウンター席しかない、本当に小さなラーメン屋さんだ。「いらっしゃい!」と大将の元気のいい声が響く。私はペコリとお辞儀をして、樹くんのあとに続いた。「ここ俺のお気に入り。メニューはラーメンだけで、トッピングが選べるんですよ」手元にメニューはなく、樹くんの視線の先をたどると壁にラーメンと大きく書かれ、トッピングの内容が手書きで貼ってあった。「俺のおすすめでいい?」「うん」見てもよくわからなかったので、樹くんおすすめを紹介してくれて頼もしい限りだ。「はい、お待ちっ」しばらくすると目の前に差し出されるラーメン丼。熱々の湯気が立ち上ぼり、美味しそうな香りが食欲を誘う。 麺の上にはチャーシューとメンマ、キクラゲ、それに味玉がのっている。「美味しそう。いただきます」ひとくち食べただけなのに、その美味しさに目を丸くする。家で作るのとは全然違う味に感動してしまった。「ん~、美味しいっ!」落ちそうになる頬を押さえながら樹くんを見ると優しく微笑んでいて、その柔らかい表情に図らずも私の胸はドキッとしてしまう。また、そんなふうに笑って……。胸のドキドキを気にしないように、目の前のラーメンに集中した。

  • 強引な後輩は年上彼女を甘やかす   05_1 おみくじ 姫乃side

    一通り見て回った後、私たちは博物館を後にした。「お腹すきません?」「そろそろランチの時間?」私は腕時計で時間を確認する。 十一時半を過ぎたところだった。「食べたいものあります?」「特には……。あ、こういうときは食べたいもの言った方がいいのかな? 言わないと優柔不断に思われたりする?」「は?」私の質問に樹くんはポカンとする。 いや、真面目に聞いているんですけど。「あー、そこはそんなに気にしないかなぁ。姫乃さんってほんと真面目だよね」「……そこがダメなとこ?」「そこがいいところ!」「いいの?」「いいじゃん」と言われても、納得できない私は頭を悩ませた。 ちょうど近くの店の前に立てられた幟を見て、私はふと思いつく。「そうだ、ラーメン屋さんに行きたい」「そんなんでいいの?」「行ったことないの」「えっ! 姫乃さんってお嬢様?」「まさか。お嬢様はカツ丼特盛買わないよ」「確かに」「なんか一人で入れなくて、友達とご飯食べるときもラーメン屋さんってなかなか行かなくない?」「俺は行くけど。まあ、女の人はそうなのかな? じゃあ行きましょうよ、ラーメン屋」樹くんは私の提案をすんなり受け入れてくれ、ここから割りと近くにあるという樹くんお気に入りのラーメン屋さんに連れていってくれた。

  • 強引な後輩は年上彼女を甘やかす   04_6 初デート 樹side

    「博物館よく来るの?」「たまにね。好きなんだ、こういう雰囲気。昔の息吹が感じられて、その時代の一コマを現代から覗き見ている感じ。すごく好き」姫乃さんは両手を胸の前で組み、うっとりと思いを馳せる。何かを想像しているであろうその表情は、百面相のようにくるくると変わって面白い。しかも何だか恍惚の境地に入っている様子だ。 どんな顔をしているんだよ、どんな顔を。「ふーん。覗き見って、姫乃さんエロいね」からかうと、はっと我に返り「ちょっとそういう意味じゃないよ」と頬を染めながら慌てる。 何だこれ、可愛いな。「わかってる、わかってる」「もう、またからかって。樹くんなんて知らないんだから」姫乃さんは顔を真赤にさせながらも、頬をぷくっと膨らませてそっぽを向いた。そしてそのまま一人で歩いていってしまう。あ、やば。 俺はまた調子に乗ったかもしれない。姫乃さんは先輩なのに、可愛いからついからかいたくなってしまう。さすがの姫乃さんも怒ったのだろう。「ごめんって。ごめんなさい」呼びかけても反応してくれない。 いよいよ、やばい。焦った俺は姫乃さんの腕を掴んだ。「姫乃さん、機嫌直して」腕を掴まれたことでピタッと動きを止めた姫乃さんは、小刻みに肩が震えている。「姫乃さん?」心配になって彼女を覗き込もうとした。 と、そのとき――。「怒ってないよーっだ」ガバッと顔を上げた姫乃さんは、満面の笑みで俺を見上げる。いたずらっぽく笑うその顔は無邪気そのもので、可愛いを通り越して愛おしいとさえ思った。「樹くん、びっくりした?」「……うん」びっくりした。 自分の感情の揺れにも、びっくりした。「えへへ、大成功~」姫乃さんは嬉しそうにニコニコ笑う。 人の気も知らないで。 まったく……。「……その笑顔は反則でしょ」「え? なになに~?」「なんでもないですっ! さ、行きますよ」この感情がなんなのか、わかってしまった。だけどそれを認めるにはまだ早すぎる気がして、気づかないふりをした。確実に俺は、姫乃さんに惹かれている――。

  • 強引な後輩は年上彼女を甘やかす   04_5 初デート 樹side

    「これ、カバンにつけちゃおうかなぁ」「姫乃さん、趣味渋いよね。ウケる」いや、まったく。完璧で高嶺の花だとか言われる姫乃さんが、カバンに金印付けるとか、ギャップが面白すぎる。「こういうところが、ダメなところなのかなぁ?」「全然、ギャップ萌えするよね」「……ギャップ萌え? それメモったほうがいい?」「まさか。俺もカバンにつけよ」メモるとか、なんだよ。おもしろ。まあ、姫乃さんにとってみてはデートの練習だから、いろいろと勉強中なのだろうけど。俺の中では、もう練習とかどうでもよかった。純粋に姫乃さんとのデートを楽しんでいる。俺も姫乃さんと同様、カバンに金印ストラップを付けた。黒のカバンに金色の金印が愛くるしく揺れる。こんなのを付ける俺は、完全に姫乃さんに流されている。「姫乃さんとお揃い」掲げて見せれば、姫乃さんは柔らかく笑ってくれた。それがまた、嬉しい。「常設展は?」「行きたい。樹くんつまらない?」「全然。めちゃくちゃ楽しい」つまらないわけがない。 楽しいと言ったら姫乃さんはよかったと笑った。 うん、どう考えても楽しい。楽しい以外、言葉が見つからない。デートの提案をした俺を褒め称えたいとさえ思った。……大げさかもしれないけど。

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